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乳がんと乳房再建

乳房再建ナビ 日本では現在、毎年約6万人の方が乳がんと診断され、そのうちおよそ4割の患者さんが乳房を全切除すると言われています。
アラガン・ジャパン株式会社は、乳房切除手術を受けたあとも「自分らしく」ありたいと願う患者さんをサポートするため、人工乳房による乳房再建術に関する情報をご提供しています。

乳がんについて

乳がんとは

グラフ乳がんは乳房組織に発生するがんで、女性が患うがんの中で最も多いがんです。近年患者数は増加傾向にあり、現在国内には約19万人*もの乳がん患者さんがいます。そして、毎年約6万人が新たに乳がんと診断され、約13,000人の方が亡くなっています。

女性が、生涯に乳がんになる割合として、数年前までは20人に1人と言われていましたが、最近では15人に1人とされています。(出典:対がん協会ホームページ「乳がんの基礎知識」より)

また、年齢別にみると女性の乳がんの罹患率は30代から増加しはじめ、40代後半から50代前半にピークを迎えます。

*厚生労働省平成23年患者調査による
 乳がんの総患者数

乳がんの症状

乳房のしこり
乳がんは5mmぐらいから1cmぐらいの大きさになると、自分で注意深く触るとわかるしこりになります。しかし、しこりがあるからといってすべてが乳がんであるというわけではありません。
乳房のえくぼなど皮膚の変化
乳がんが乳房の皮膚の近くに達すると、えくぼのようなくぼみができたり、皮膚が赤く腫(は)れたりします。
乳房の近くのリンパ節の腫れ
乳がんは乳房の近くにあるリンパ節、すなわちわきの下や胸骨のそば、鎖骨の上下のリンパ節に転移しやすく、これらのリンパ節を「領域リンパ節」と呼びます。領域リンパ節が大きくなってくるとリンパ液の流れがせき止められて腕がむくんできたり、腕に向かう神経を圧迫して腕のしびれをきたしたりすることがあります。
遠隔転移の症状
転移した臓器によって症状は違いますし、症状が全くないこともあります。領域リンパ節以外のリンパ節が腫れている場合は遠隔リンパ節転移、腰、背中、肩の痛みなどが持続する場合は骨転移が疑われ、肺転移の場合は咳が出たり、息が苦しくなることがあります。肝臓の転移は症状が出にくいですが、肝臓が大きくなると腹部が張ったり、食欲がなくなることもあり、痛みや黄疸が出ることもあります。

出典・参考:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」

乳がんの病期分類

乳がんの広がり、すなわち乳房のしこりの大きさ、乳腺の領域にあるリンパ節転移の有無、遠隔転移の有無によって大きく5段階の臨床病期(ステージ)に分類され、この臨床病期に応じて治療法が変わってきます。

0期 乳がんが発生した乳腺の中にとどまっているもので、極めて早期の乳がんです。これを「非浸潤(ひしんじゅん)がん」といいます。
I期 しこりの大きさが2cm(1円玉の大きさ)以下で、わきの下のリンパ節には転移していない、つまり乳房の外に広がっていないと思われる段階です。
II期 IIa期 しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節への転移がある場合、またはしこりの大きさが2~5cmでわきの下のリンパ節への転移がない場合。
IIb期 しこりの大きさが2~5cmでわきの下のリンパ節への転移がある場合。
III期
局所進行
乳がん
IIIa期 しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節に転移があり、しかもリンパ節がお互いがっちりと癒着していたり周辺の組織に固定している状態、またはわきの下のリンパ節転移がなく胸骨の内側のリンパ節(内胸リンパ節)が腫れている場合。あるいはしこりの大きさが5cm以上でわきの下あるいは胸骨の内側のリンパ節への転移がある場合。
IIIb期 しこりの大きさやわきの下のリンパ節への転移の有無にかかわらず、しこりが胸壁にがっちりと固定しているか、皮膚にしこりが顔を出したり皮膚が崩れたり皮膚がむくんでいるような場合です。炎症性乳がんもこの病期に含まれます。
IIIc期 しこりの大きさにかかわらず、わきの下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移のある場合。あるいは鎖骨の上下にあるリンパ節に転移がある場合。
IV期 遠隔臓器に転移している場合。乳がんの転移しやすい臓器は骨、肺、肝臓、脳などです。
再発乳がん 乳房のしこりに対する初期治療を行った後、乳がんが再び出てくることを「再発」といいます。通常は他の臓器に出てくること(「転移」と呼びます)を指し、IV期の乳がんとあわせて「転移性乳がん」と呼びます。手術をした乳房の領域に出てくることは「局所・領域再発」と呼んで区別します。

出典:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」

乳がん検診

乳がんのリスクは全ての女性において年齢とともに高まるため、定期的に乳房の自己検診を行い、40歳を超えた女性は早期発見のため2年に1度は検診を受けることが推奨されています。

【検診の種類】

a) 乳房の自己検診
自分自身での乳房の検査で、胸の形に変化がないか、乳房を押した際に以前なかったしこりや厚くなっている部分がないかを確認します。しこりが乳がんであった場合、ある程度の大きさにならないと発見できない可能性があります。
b) 医療機関での検診
医療機関での検診は、筋肉を引き締めた場合と弛緩させた場合の乳房の観察と、慎重な「触診」があります。何らかの異常があれば、より正確な診断のため超音波検査やMRI撮影を受けることになります。
c) マンモグラフィ
現在乳がんを発見するもっとも効果的な方法がマンモグラフィです。マンモグラフィは特殊な乳房のレントゲン撮影です。乳房を挟み込んで撮影するため、かなり痛みを感じる方もいます。
d) 超音波検査
超音波を発信し、その反射波を利用して乳腺の状態を調べる検査で乳腺エコーと呼ばれます。乳腺の状態やしこりが良性か悪性かを調べることができるので、マンモグラフィと同様に乳がんの早期発見に使用されます。
e) 細胞診、針生検、組織診(マンモトーム)
画像診断の一次検診により乳がんの可能性が高いとされると、「要精密検査」と診断され、生検によるしこりの病理診断を受けることになります。生検とは、体の組織や細胞を採取する方法であり、針生検と外科的生検があります。
f) 磁気共鳴画像法(MRI)
磁場の中で特定周波数のラジオ波を照射し、その照射をやめた後に定常状態にもどるまでの緩和現象を観察することによって体の断面を撮影する方法です。

乳房再建術について

乳房再建術とは

乳房再建術とは、腫瘍または外傷により切除された乳房組織を再建したり、胸部の重度の異常により適切に成長しなかった乳房を形成したりする手術です。乳房再建術は、以前より自家組織移植法(自分の他の部分の組織を移植する方法)による手術が行われていましたが、現在は、人工乳房を使った手術も行われています。
乳房再建術は乳がんの乳房切除術に引き続き行われ、外見を整えるという観点だけではなく、乳がんの治療方針に沿って選択する必要があります。乳房切除術を受ける乳がん患者さんは国内で年間約2万人にのぼり*、これらの患者さんに乳房再建術が考慮されますが、患者さん個々の病態や放射線治療、薬物療法との併用など状態によっては行えないこともありますので、乳がんの治療全体の中での選択について主治医とよく相談する必要があります。

*全国乳がん患者登録調査報告 2011年次症例 日本乳がん学会

乳房について

イラスト 乳房は脂肪組織・乳腺・乳管・血管・神経・リンパ管で構成され、皮膚でおおわれています。乳房の下には大胸筋があります。
人工乳房を用いた乳房再建術を行う際、患者さんの乳房組織の厚みや状態に応じて、人工乳房を大胸筋下または乳腺下の全体もしくは一部に埋入します。

人工乳房を用いた乳房再建術の流れ

イラスト

皮膚拡張器(組織拡張器)による皮膚の拡張
胸に皮膚が少ししか残っていない場合、人工乳房が入れられるように皮膚を伸ばす必要があります。人工乳房を入れる部分に、事前に一時的に皮膚拡張器(組織拡張器)を入れ、外から生理食塩水を段階的に注入して、皮膚を伸ばしていきます。
切開位置の選択
切開する位置は、一般に、乳がん手術の切開線ですが、人工乳房の大きさだけではなく、患者さんの乳房の形態や希望によって決められます。
人工乳房を入れる位置の決定
人工乳房は、大胸筋下、または乳腺下の全体もしくは一部に入れます。患者さんと医師で相談の上、患者さんの体の状態を考慮して、人工乳房を入れる位置を決めます。
手術に必要な入院期間や回数の確認
乳房再建術は、手術方法によって入院回数や期間が異なります。手術の複雑さや患者さんの健康状態によっては、入院期間が長引くこともあります。
術後のケア
術後2~3日間は傷に集まる血液や体液を外に出すために、ドレナージ(排液)・チューブが留置されることがあります。傷が治るまでに数週間かかります。
手術後の数日間は、乳房を洗ったり入浴したりすることは控えることになります。抜糸後は、乾燥を防ぐために医師が推奨するクリームやローションを使用して傷あとや乳房を優しくマッサージして、乳房のケアを行います。
通常、退院してから2~3日後には仕事や日常的な活動を再開できるようになります。しかし、2~3週間はストレスを避けるような生活を送る必要があり、心拍数や血圧をあげるような活動、スポーツや運動は、1ヵ月間は控えるようにします。

術後検診の必要性

人工乳房を入れているかいないかにかかわらず、多くの女性は正常な月経周期におけるホルモンの変化により、さまざまな症状が起こります。その中には、乳房の一部の不快感・痛み・腫れなどがあります。これらの症状を短期間でも感じたら、診察を受ける必要があります。また、以下のような症状が出た場合も診察を受けることを推奨します。

  • しこりがある
  • 乳房か乳頭の皮膚に陥没、もしくはくぼみがある
  • 乳頭から分泌物が出る
  • 人工乳房の位置や形状が変わった
  • 最近、乳房にけがをした

人工乳房は時間とともに状態(位置や形状など)が変化していき、将来的には交換や摘出が必要となる可能性があります。人工乳房で合併症が発生するリスクは、患者さんの健康状態やライフスタイルなどに左右されますが、最近の研究では、術後の8~10年後にリスクが有意に増加するとされています。自覚症状がなくても合併症や有害事象が発生している場合もあるため、1~2年に1回は定期的な検診を受ける必要があります。

人工乳房に関する合併症とリスク

術後に発生する可能性のある合併症として、次のようなものが確認されています。発生の有無や時期は、患者さんの健康状態やライフスタイルによって異なります。

血腫、漿液腫/体液貯留、疼痛(乳房他)、炎症、感染、組織/皮膚壊死、インプラントの突出/露出、インプラント破裂、乳房・皮膚知覚異常/合併症、被膜拘縮、瘢痕/肥厚性瘢痕、しわ・凹み、インプラント位置異常、インプラント交換/摘出、再手術 など

その他の有害事象:
次のような有害事象は、現時点において人工乳房との因果関係は不明ですが、将来的に関連性があるとされる可能性があり、今後も調査を行っていきます。

乳がん、乳がん以外のがん、ALCL(未分化型大細胞リンパ腫)、結合組織疾患/自己免疫疾患、神経系疾患

乳がんによる乳房再建術の人工乳房への保険適用

2013年6月に厚生労働省により、人工乳房と乳房再建用の皮膚拡張器が特定保険医療材料として承認されました。これにより、2013年7月以降、乳がんで乳房全摘出手術を行った患者さんが乳房再建手術を保険適用下で行うことができるようになりました。

実施施設基準・実施医基準について

ゲル充填人工乳房および皮膚拡張器を、乳がん及び乳腺腫瘍術後の乳房再建に使用する医師は日本形成外科学会、日本乳がん学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会による「乳がんおよび乳腺腫瘍術後の乳房再建を目的としたゲル充填人工乳房および皮膚拡張器に関する使用要件基準」に基づき、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会が主催する講習会を受講し、実施医師・責任医師、及び施設認定を受ける必要があります。

詳しくは日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会ホームページ(http://jopbs.umin.jp/kosyu.html) をご参照ください。

乳がん・乳房再建に関するその他の情報

関連サイトリンク

乳がんや乳房再建に関して有用な情報を提供している患者団体や研究会のサイトをご紹介します。

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